貧血
立ちくらみや息切れ、なんとなく体がだるいといった症状を「疲れのせい」と片付けてしまっていませんか。これらは体内の酸素を運ぶヘモグロビンが不足する貧血の代表的なサインかもしれません。
貧血は単なる一時的な症状ではなく、背後に重大な病気が隠れているケースも少なくありません。特に女性や高齢の方、激しい運動をされる方は、自覚がないまま症状が進行していることもあります。埼玉県入間市の寺師医院では、血液検査で不調の原因を丁寧に探り、無理のない治療計画を立てることを大切にしています。少しでも気になる症状があればお気軽にご相談ください。
貧血の原因
貧血とは、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンというタンパク質が減少した状態を指します。ヘモグロビンは体中に酸素を届ける重要な役割を担っているため、これが不足すると全身が酸素欠乏状態に陥ります。貧血の原因は多岐にわたりますが、大きく分けて4つのパターンが考えられます。
鉄分の摂取不足や吸収不全
日本人の貧血で最も多いのが、ヘモグロビンの材料となる鉄分が不足するケースです。偏った食事や過度なダイエットにより、必要な鉄分を食事から摂取できていないことが主な要因となります。また、胃の切除手術後や、胃腸の疾患によって鉄分の吸収が妨げられている場合にも、鉄欠乏状態が引き起こされます。
血液の需要増大や喪失
体が必要とする鉄分の量が増えたり、血液そのものが失われたりすることで貧血が起こります。具体的な例として以下の状況が挙げられます。
- 成長期における急激な体の発達(鉄分の需要増大)
- 妊娠や授乳期における胎児・乳児への栄養供給
- 月経による定期的な出血(月経過多など)
- 消化管からの慢性的な出血(胃潰瘍、十二指腸潰瘍、大腸ポリープ、がんなど)
赤血球を作る機能の低下
血液を作る工場である骨髄に問題が生じると、赤血球が正常に作られなくなります。これにはビタミンB12や葉酸といった栄養素の不足が関わっている場合もあれば、骨髄そのものの病気が原因となっている場合もあります。また、腎臓から分泌される赤血球産生を促すホルモンの不足によっても起こることがあります。
赤血球の破壊が進む状態
通常、赤血球は約120日の寿命がありますが、何らかの原因でそれよりも早く壊されてしまうことがあります。これを溶血(ようけつ)と呼びます。自身の免疫システムが誤って赤血球を攻撃してしまう場合や、血管内に問題がある場合などに、赤血球の生産が破壊に追いつかなくなり貧血に至ります。
貧血によって引き起こされる病気
貧血はそれ自体が独立した病気であることもあれば、他の疾患が原因となって現れる「症状」であることもあります。貧血の状態が続くことで疑われる主な病気について解説します。
鉄欠乏性貧血
貧血の中で最も頻度が高く、全貧血の約7割を占めると言われています。体内の貯蔵鉄が枯渇することで起こり、爪がスプーンのように反り返る、氷を無性に食べたくなる(氷食症)、舌がしみるなどの症状が見られることもあります。
巨赤芽球性貧血(悪性貧血)
ビタミンB12や葉酸が不足することで、赤血球が巨大化し、正常に機能しなくなる病気です。胃の全摘手術後や、極端なベジタリアンの食生活、吸収不良症候群などが引き金となります。放置すると神経障害を伴うこともあるため、適切な診断が必要です。
再生不良性貧血
骨髄にある血液を作る細胞が減少してしまう病気です。赤血球だけでなく、白血球や血小板も減少するため、感染症にかかりやすくなったり、出血が止まりにくくなったりするのが特徴です。国の指定難病にも登録されており、専門的な治療を継続していく必要があります。
腎性貧血
腎臓の機能が低下することで、赤血球を作るように命令を出すホルモン(エリスロポエチン)の分泌が減ってしまうために起こります。慢性腎臓病の患者さんに多く見られ、腎機能の悪化とともに貧血も進む傾向にあります。適切な治療により生活の質を改善できる可能性があります。
続発性貧血(二次性貧血)
他の疾患が主原因となり、その影響で貧血が生じる状態です。がんや膠原病(こうげんびょう)、慢性的な感染症などの炎症性疾患に伴って現れることが多いです。この場合、貧血そのものよりも原因となっている元の病気の治療を優先することが重要です。
貧血の処置や治療法
寺師医院では、まず詳しい問診と血液検査を行い、貧血の種類と原因を特定することから始めます。原因が特定された後は、それぞれの病態に合わせた最適な処置を選択していきます。
食事療法による栄養改善
軽度の鉄欠乏性貧血であれば、まずは食生活の見直しをご案内します。ヘム鉄を多く含む赤身の肉や魚、非ヘム鉄を含む野菜や大豆製品をバランスよく摂取することが基本です。また、鉄の吸収を助けるビタミンCや、赤血球を作るのに必要なタンパク質を同時に摂る工夫もアドバイスいたします。
鉄剤による薬物療法
食事だけでは鉄分の補給が追いつかない場合、鉄剤の内服を開始します。内服を開始して数週間で自覚症状の改善が見られることが多いですが、体内の貯蔵鉄を十分に満たすためには、血液データが正常化した後も数か月間服用を続けることが一般的です。副作用として胃のむかつきや便秘が出ることがありますが、お薬の種類や飲み方を調整することで対応可能です。
ビタミンやホルモンの補充
ビタミンB12や葉酸の不足が原因の場合は、これらを飲み薬や注射で補充します。また、腎性貧血の患者さんに対しては、不足しているエリスロポエチンを補うための注射製剤を使用し、造血機能をサポートします。これにより、これまで感じていた強い倦怠感が和らぐことが期待できます。
原因疾患の精密検査と治療
検査の結果、消化管からの出血が疑われる場合や、婦人科系の疾患が背景にあると考えられる場合は、必要に応じて専門の医療機関をご紹介しています。貧血の背後に隠れているポリープや潰瘍、腫瘍などを早期に見つけ出し、根本的な原因を取り除くことが、再発を防ぐ唯一の方法となるためです。
貧血についてのよくある質問
Q1.健診で「貧血気味」と言われましたが、症状がなければ放っておいても大丈夫ですか?
A1.自覚症状がなくても、体は慢性的な酸素不足に耐えている状態かもしれません。心臓や脳に負担がかかっている可能性もあるため、一度検査を受けることをお勧めします。特に急に症状が出た場合は注意が必要です。
Q2.鉄剤を飲むと便が黒くなりますが、異常でしょうか?
A2.鉄剤に含まれる鉄分が吸収されずに便に出てくるため、黒くなるのは正常な反応です。心配ありませんが、もし下痢や腹痛がひどい場合は、お薬の変更も検討できますのでご相談ください。
Q3.お茶を飲むと鉄分の吸収が悪くなると聞きましたが、本当ですか?
A3.お茶に含まれるタンニンが鉄の吸収を阻害するという説もありますが、近年の研究では、通常の食事範囲内であれば大きな影響はないと考えられています。神経質になりすぎる必要はありませんが、気になる方は食事中や服用前後30分程度は控えても良いでしょう。
Q4.ほうれん草を食べていれば貧血は治りますか?
A4.ほうれん草は鉄分を含みますが、植物性食品に含まれる非ヘム鉄は動物性食品のヘム鉄に比べて吸収率が低めです。ほうれん草だけに頼るのではなく、肉や魚、ビタミンCを組み合わせて効率よく摂取することが大切です。
Q5.貧血が改善するまでどれくらいの期間がかかりますか?
A5.個人差がありますが、治療開始後1〜2週間程度で少しずつ体が楽になってくるのを実感される方が多いです。ただし、血液中の鉄分が十分に蓄えられるまでには3〜6か月程度の継続的な治療が必要になることが一般的です。
院長より
「なんとなく体が重い」「最近階段で息が切れるようになった」といった不調を、年齢や疲れのせいにしていませんか。貧血は、体が出しているSOSのサインです。私たち寺師医院では、入間市に根ざしたかかりつけ医として、こうした患者さんの小さな変化を大切に受け止め、血液検査の結果に基づいた分かりやすい説明を心がけています。
貧血の裏に重大な病気が隠れていないかを、内科全般の視点から慎重に見極めるよう努めています。一人で悩まず、まずは一度血液検査から始めてみませんか。健やかな毎日を取り戻すため、精一杯お手伝いいたします。
